教育ファシリテーションとは、学校をはじめとする教育現場において、学ぶ者がその主体性を発揮できるように、様々なスキルを用いて支援することです。教育プログラムや学習環境の整備を行ったりすることから、クラスや小集団単位での学習を促進させたりすることまで、様々なレベルでの活動が考えられます。そのような活動を引っ張っていくリーダーとしてではなく、集団のもっている力を引き出せるファシリテーターとしてかかわる力を育てることをめざしています。
教育ファシリテーション専攻は、人間の本質と潜在的な可能性を探求し、個の自己実現を可能にする人間形成のための教育的促進・支援のありようを研究します。そのために、学習者の心理などの個人的背景、社会や集団といった社会的背景を正確に分析・把握し、ラボラトリー・メソッドによる体験学習の理論と方法を活用した適切な教育機会を組織し、実践できるファシリテーション能力を備えた教育ファシリテーターを目指します。
教育ファシリテーション専攻では、ラボラトリー方式の体験学習を核とした、学習者の感情や価値観の発達、的確な自己表現や自己実現、コミュニケーションやリーダーシップなどの人間関係能力の開発、身体と心の統合的な発達をねらいとした教育的試みに関する理解を深めることにより、様々な教育実践研究をが行われています。人間性教育に根ざした教育方法を修得させる教育ファシリテーション論、教育ファシリテーション実践研究を基礎科目として据え、その上に2つの領域が設定されています。
<体験学習ファシリテーション領域>
学校をはじめとして、企業、医療、国際協力など幅広い教育領域において体験学習を用いた教育プログラムの立案・実行能力を育成するとともに、学習者の心理的なダイナミックスや学習者間の相互作用過程などを把握し、学習者の自己実現を支援する能力を育成します。
<学校教育ファシリテーション領域>
学校教育における児童生徒の学習面、心理・社会面、進路面、健康面などの問題の解決を目的とした教育活動を組織し、援助できる能力を育成します。
・学習者を理解する能力
・学びのための環境づくりの能力
・学習者へ効果的な介入(働きかけ)能力
・教育ファシリテーターは、心理・関係的過程(プロセス)を尊重しながら、参加・対話型の教育実践が行える人物になること
職業人が学ぶための専ら夜間体制(土曜日含)なので、仕事に就きながら学位(修士)がとれる。
学校現場を中心に、事例研究や体験学習など教育現場で活用できる教育技術の研究を行う。
人間・人間関係に関わる基礎的研究から応用実践まで幅広いニーズに応える
専修免許取得可。学校心理士受験資格取得可。
※首都圏や関西圏などの遠方の方も学べるように、体験学習領域について金曜夜間 と土曜日を中心に授業が開講されています。
「ラボラトリー方式の体験学習」とは、1946年グループダイナミックス研究の創始者ともいえるK.レヴィンらのワークショップから生まれた学習方法です。
NTL Instituteに1947年より引き継がれ、全世界の人々が集まり、今日までさまざまなワークショップ、とりわけ人間関係に関わるワークショップが開催されています。2006年4月、南山大学人間関係研究センターとパートナーシップを結んでいます。
「ラボラトリー方式の体験学習」とは、「特別に設計された人と人が関わる場において、“今ここ”での参加者の体験を素材(データ)として、人間や人間関係を参加者とファシリテーターとが共に学ぶ(探求する)方法(津村、2007)」といえます。