修了生インタビュー #2

 

 

倉田朱美(くらた・あけみ)さん

20104月入学・20154月再入学(第7期生・第12期生) 

名古屋市在住 大学教員(入学時は専門学校教員)

 

再入学から一年で修士課程を修了

理想のキャリアを手に入れることができた

●大学院との出会い

 家庭環境の変化による一念発起です。自分のために時間とお金が使える状況が生まれ、「人生の気分転換」みたいな感覚で入学しました。私は南山短期大学人間関係科の卒業生なんですが、「人間の尊厳のために」という南山のスローガンが自分の土壌にあるというか、「南山」という学びの場が心の支えのようになっていたところもあり、大学院ができたことを知った際に、「いつか入れたらいいな」と思っていたんです。

 短大卒業後は作業療法士として病院で勤務した後、医療系専門学校で教員をしていました。「学生への有効な教育支援について学びたい」という気持ちがあったのと同時に、「可能なら大学で教員をしたい」というキャリアアップも考えていた。それには修士の学位が必須だったという現実的な背景もありました。

 

●一度は退学の道を選んだ

 学校心理士の資格もほしかったので、月曜、木曜、金曜、土曜と、仕事をしながら週に4日、大学院に通っていました。通学に1時間半かかっていたこともあり、どんどん疲れがたまっていった。同期の仲間や先輩はすごい人ばかりで、刺激をもらえるのと同時に、自分に修論が書けるのか不安も増す一方でした。

 体調も悪くなり、身体が壊れていくような不安感が募り、「ちょっと休もう」と、1年の後期を休学。2年の前期から復学する予定だったんですが、ちょうど東日本大震災が起こり、心が不安定になって、復学できなかった。ようやく2年の後期に復学したんですが、授業は出ているけれど、研究課題に取り組む気持ちになれなくて。そんな時、再婚することになり、「家庭が優先」という思いが強くなり、単位はすべて取得したものの、退学を決めました。

 後悔はありませんでしたね。授業を通しての学びは仕事に活かすことができ、多様な院生との出会いは大学院ならではの財産だと思うから。ゼミの指導教員も無理に引き留めることはせず、「今、休学すると2年しか在籍できないが、退学すれば、5年以内なら再入学できる。論文のテーマが見つからないのであれば、やめるという選択もある」と提案して下さったんです。

 その後、3年あまり、大学院とは全く関わりなく過ごしました。しかし、その間に職場環境が悪化し、「やっぱり大学教員を目指したい」と思う気持ちが強くなり、家庭も落ち着いてきたので、再入学を決意しました。

 単位はすべて取得していたので、あとは修士論文だけ。前期は研究指導メインで、論文のレジュメを書いては指導を受けることを繰り返し、78月に研究を行い、9月には序章を書き始め、年明けに論文を提出。再入学から1年で修了することができました。

 工業系専門学校の教員や看護大学の教員が同じゼミ生だったので、修論を進めていくヒントをたくさん得られるという環境にも恵まれたと思います。歳入額してたった一年で修了できたのも、大学院の再入学制度、仲間や先輩、そして先生方…と、「すべてまわりのおかげだな」と思います。

 

●キャリアアップとその後の変化

 大学院修了後も専門学校の教員を続けていましたが、1年後に医療系大学の教員に転職。理想としていたキャリアアップができ、とても満足しています。

 自分に余裕ができたせいか、以前は学生との間に何かあると、「教員」という鎧を着けて対峙していたんですが、今はそれがなくなった。自分が様々な人たちとの関わりの中で助けられてきたので、学生にも「丁寧に関わってあげたい」と思うようになり、にっこり笑って受け止めてあげられる機会が増えた気がします。

 

●入学を考えている方へのメッセージ

 私を含め、教育ファシリテーション専攻の修了生には教員がたくさんいるんですが、ここは「生徒になってみるチャンスの場」でもあるように思うんです。先生のまま経験を積むだけでは超えられない、逆の立場になってこそ気づくこと。学生の主体的な学びを尊重すること。自分が守られて大切にされたからこそ、自分も学生を大切にしたいと思う気持ちなど、「多様性の中で生きること」を実感できる場であり、それが教員としての自分を成長させることにつながるように思います。